LX200赤道儀の赤経・赤緯ドライブ改造

11.LX200赤道儀の赤経・赤緯ドライブ改造

11.1 赤道儀の赤緯軸解体と手順

 

このミードのLX200は口径10インチ(25.4cm)でF10のシュミットカセグレン式 の鏡筒で、架台はフォーク式です。ミードから販売されていたこの形式の望遠鏡は、口径が8、 10と12インチのものがあり、現状では2世代以上前の旧タイプのものになります。このタイ プの望遠鏡はGPS機能を搭載していないので、望遠鏡の自動設定機能等も有りません。

 このタイプ以前のLX200望遠鏡は既にメーカーサポートが終了していますから、修理などの 対応はしてもらえなくなっています。この望遠鏡はハンドコントローラや本体のメインボード上 のタンタルコンデンサの不良によって故障し、作動不良に陥っているものがかなりあるようです。 

 それで、望遠鏡は部品取り用か、私のように駆動部分を自作するより方法はなさそうです。

11.1.1  赤道儀の赤経・赤緯軸の回転機構の位置

A.赤経・赤緯軸の回転機構の位置


上図はLX200のフォークの側面と本体架台の正面を表しています。

 下部の四角い台座部分にフロント操作パネル部の内部に赤経軸とその駆動装置が有ります。

上部の円盤状で下部か四角部分がフォークの先端になっており、この部分に赤緯の軸と駆動装置が入っています。

 この赤緯軸の内部にはアルミでできた180歯のウォームホイールが有り、その下にDCモータ駆動ユニットが配置されています。

 これらはウォームキャップにより保護され、ウォームキャップ・ノブによって固定されていますが、その他にも3箇所の留めねじによりフォーク架台に締め付けられています。

11.1.2  ウォームキャップの取り外し

前述のように、ウォームホイールとDCモータ駆動ユニットはウォームキャップで覆われていますから、先ずこれを外します。

始めにウォームキャップを止めている3箇所のねじを取り外し、 ウォームキャップ・ノブを緩めます。ウォームキャップ・ノブが外れるとウォームキャップが赤緯軸から外れますが、同時にウォームホイールなども同時に緩んで外れることが有りますから、ウォームキャップのみ取り外します。

ウォームキャップが外れると円盤状のウォームと DCモータ駆動ユニットがむき出しになります。

赤緯駆動部をステッピングモータに変更するためには、 DCモータ駆動ユニットを架台から取り外した後に、ステッピングモータの取り付けを行わなくてはなりません。

11.1.3  赤道儀のDCモータ駆動ユニットを架台から取り外し

 DCモータ駆動ユニットはフォーク架台にボルト2本で止められていますから、これを緩めて取り外しを行います。DCモータ駆動ユニットはDCモータの減速駆動ユニット(ギアボックス) とウォームギアユニットからなっています。

 手動回転ノブはその軸をDCモータ駆動ユニットに保持されており、その減速の最終段にある位置にフォームギア軸が有ります。


前図ではDCモータ駆動ユニットの全体像が示されていますが、 これらはDCモータの減速駆動ユニット(ギアボックス)とウォームギアユニットからなっています。このうち、ギアボックスとDCモータは使用しませんから、これらを取り外さなくてはなりません。

また、ウォーム・ホイールとギアの圧力調整を行う”ギア調整機構部”もステッピングモータと干渉するので外さなくてはなりませんし、新しいものと交換する必要があります。

このギア調整機構は主にばねによって圧力を発生させているのですが、本来引きと押しねじで調整したいところですが、LX200ではスペースの関係で無理ですからこの方法と同じ手法で行うことになります。

11.1.4  赤道儀の赤経ユニットの解体

赤経台座の上面上部には操作パネルが有ります。赤経台座の底面は裏蓋が有り、ネジで数か所に台座に固定されています。この裏蓋を外すと下図のような部品が現れます。さまざまにチップや電子部品が載っているのがLX200のメインボードです。このメインボードと操作パネルはシート状の配線で接続されていますから、先ずこれを外します。この配線を外すとその下に赤経ユニットが現れますから、次にこの赤経ユニットを取り外します。

 赤経ユニットは、赤緯ユニットと同じ形状ですから、この場合と同じように台座に止めているネジを2本外して赤経ユニットを取り外します。

 次に、台座内面の側面に配置されているセメント抵抗を外してから、メインボードの取り付けねじも外して、メインボードを台座と分離します。


11.1.5  赤道儀の赤緯ユニットの解体完了

E.赤経ユニットの解体完了

赤経ユニットの解体が完了するとLX200のメインボードとフロントパネルが取り外されます。これらの部品は使用しませんから、別途補間もしくは破棄ということになります。


11.1.6  ステッピングモータ台座の製作

基本的に赤経・赤緯とも同じウォームギアユニットに対して平形のモータ台座を取りつけます。

 詳細な設計は後ですることにして、この例では試作品としての台座が示されており、赤経と赤緯の台座形状が異なっていることに注意してください。このようなものが配置的にベストな形状なのですが実際台座を製作することになった場合には折衝的な案として同一形状のものを設計したいと考えます。

11.1.7  赤道儀のステッピングモータとギアの組み付け


今回のギア台座では、減速ギアなしのステッピングモータが取り付けられています。このようなモータは一般に42mmタイプのものを採用しています。このモータの長さは概ね33mm程なのですが、もしも、減速ギア付きのモータを採用するとモータの長さはおよそ倍の59mm(オリエンタルモータ資料)程になってしまいます。

 このため、モータの後端方向はそのようなモータが設置できるような空間が確保されていなくてはなりません。前述のように、LX200のオリジナルなギア調整機構部の台座部分は、減速ギア付きのモータの場合には上図左下をみると分かりますが明らかに干渉してしまいます。このため、ウォームギアのユニット以外はすべて新しく作成しなくてはなりません。

 また、減速ギア付きのモータの出力軸の位置は、モータの中心線から8mm程外側にずれていますから、モータの出力軸とウォームギアの駆動軸との軸間距離が近くなります。このため、減速ギア付きのモータを採用すると両軸のギアの径が小さくなりますので、配置的には有利な点が多いわけです。この場合の欠点はステッピングモータそのものの価格が通常仕様のモータに比べて2~3倍位になってしまうことでしょうか。

 逆に減速ギアなしの標準仕様のステッピングモータを採用するとモータ調達は価格が安いので楽になりますが、反面、回転トルクの関係でモータ径の大きなものを採用しなくてはなりませんから、配置的には苦しくなってしまいます。


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Arduino搭載小型ボードを用いた器機の制作しています。手作りできるようなキットと製品を提供します。 天体の導入・追尾を簡単にする望遠鏡制御gotoシステム ”EJAN”の開発してます。 また、フリーの星図システムを提供し、”EJAN”と連携して使いやすく、安価なGOTOシステムを目指します。 Arduino,ARM,AVRなどの組み込みシステムの設計法と作成方法を記述します。

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